法人や個人事業主の人であれば、一度は事業承継引継ぎ補助金の制度について聞いたことがあるでしょう。
事業承継引継ぎ補助金は、今後の後継者不足により廃業の危機にさらされている企業を応援する補助金です。
また補助金を交付することで、国の経済発展を促進させるねらいもあります。
しかし、制度について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、事業承継引継ぎ補助金の詳細や申請の流れについて解説します。
この記事で分かる事
- 事業承継引継ぎ補助金は3つの種類がある
- 新たな事業に取り組もうとする中小企業や個人事業主を応援する補助金
- 申請するためにはgBizIDを発行する必要あり
- jGrantsで交付申請を行う
- 申請した人すべてに交付されるわけではない
中小企業や小規模事業者を対象にしたのが事業承継引継ぎ補助金
事業承継引継ぎ補助金とは、中小企業や小規模事業者が事業承継を契機として、新たな事業に取り組むことをサポートする補助金です。
近年の日本は少子高齢化により、後継者不足の問題があります。
2021年の全国、全業種約26万6000社を対象に調査したところ、後継者がいないまたは未定と答えた企業は16万社に上りました。
全国の後継者不足率は61.5%となり、4年連続で不足率が低下しています。
そんな中小企業を応援、支援するために事業承継引継ぎ補助金の制度が作られました。
補助対象となる中小企業には、以下の条件があります。
業種 | 資本金の額又は出資総額 | 常時使用する従業員数 |
---|---|---|
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
その他の製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
ソフトウェアや情報処理 | 3億円以下 | 300人以下 |
その他のサービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
資本金の額又は出資総額もしくは常時使用する従業員数、どちらかの基準を満たしている法人もしくは個人事業主の人が対象です。
しかし、中小企業者に含まれない人もいます。
含まれない人
- 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農業組合法人、組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合等)
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有される中小企業者等
- 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業等
参照元:事業承継引継ぎ補助金の説明資料
令和3年度補正予算と令和4年度当初予算の違いは補助上限や公募回数
令和3年度補正予算と令和4年度当初予算における補助金の公募が、同時期に実施されています。
それぞれ相違点があるため、詳しく解説していきます。
令和4年度当初予算 | 令和3年度補正予算 | 補助対象経費 | |
---|---|---|---|
経営革新事業 | 補助率 2分の1以内 補助上限 500万円以内 公募回数 1回 | 補助率 3分の2以内 補助上限 600万円以内 公募回数 4回 | 設備投資費用 人件費 店舗、事務所の改築工事費用 等 |
専門家活用事業 | 補助率 2分の1以内 補助上限 400万円以内(引継ぎが実現しない場合は200万円以内) 公募回数 1回 加点事由 なし | 補助率 3分の2以内 補助上限 600万円以内(引継ぎが実現しない場合は300万円) 公募回数 4回 加点事由 中小企業 基本法等 の小規模 企業者 直近決済期 の利益が 赤字 | M&A支援業者に支払う手数料 デューデリジェンスにかかる専門家費用 セカンドオピニオン 等 |
廃業・再チャレンジ事業 | 補助率 2分の1以内 補助上限 150万円以内 公募回数 1回 | 補助率 3分の2以内 公募回数 4回 | 廃業支援費 在庫廃棄費 解体費 等 |
令和3年度補正予算の第2回目と令和4年度当初予算の申請が同時期に行われるため、どちらに申請してよいか悩む人もいるでしょう。
2つの大きな違いは、補助率と補助上限です。
令和3年度補正予算の方が、補助率や補助上限が高く設定されています。
そのため補助金を多めに交付したい人は、令和3年度補正予算で申請しましょう。
令和4年度当初予算で申請する場合は、交付時期を早めたい人です。
令和4年度当初予算の場合、交付決定日は2022年9月中旬〜9月下旬となります。
一方、令和3年度補正予算の交付決定日は2022年10月上旬となり、交付時期が令和4年度当初予算よりも遅くなります。
M&Aを早めたい人は、交付期間が早い令和4年当初予算の申請を考えましょう。
また令和4年当初予算の公募回数は1回ですが、令和3年度補正予算の公募回数は4回あります。
今後の令和3年度補正予算の事業スケジュールは、以下の通りです。
3次公募
申請期間 | 2022年10月上旬〜11月下旬 |
---|---|
交付決定日 | 2022年12月下旬 |
事業実施期間 | 交付決定日〜2023年7月31日(補助事業完了期限日) |
実績報告期間 | 交付決定日〜2023年8月上旬 |
補助金交付手続き | 2023年9月上旬以降 |
4次公募
申請期間 | 2022年12月下旬〜2023年2月上旬 |
---|---|
交付決定日 | 2023年3月中旬 |
事業実施期間 | 交付決定日〜2023年10月17日(補助事業完了期限日) |
実績報告期間 | 交付決定日〜2023年11月上旬 |
補助交付手続き | 2023年12月上旬以降 |
参照元:事業承継・引き継ぎ等補助金(経営革新) | 令和3年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助金
令和3年度補正予算案は、今からでも申請が可能なため、検討している場合は申請手続きを行いましょう。
新たに事業に取り組もうとする中小企業や小規模事業者をサポートするのが目的
事業承継引継ぎ補助金を実施する目的は、経営革新等を行う中小企業や小規模事業者をサポートし、国の経済を活性化させるためです。
また、要件を満たしている場合、個人事業主も申請できます。
事業承継引継ぎ補助金を申請するための条件である経営経験には、個人事業主としての経験も含まれます。
個人事業主として3年以上の経験があれば、申請可能です。
個人事業主が申請する場合は、青色確定申告の申請をしている人となるため、申請しているか確認しましょう。
事業承継引継ぎ補助金には3種類ある
事業承継引継ぎ補助金には、以下の3種類の事業があります。
- 経営革新事業
- 専門家活用事業
- 廃業・再チャレンジ事業
それぞれの補助金を利用する人の特徴は、以下の通りです。
事業名 | おすすめな人 |
---|---|
経営革新事業 |
|
専門家活用事業 |
|
廃業・再チャレンジ事業 | 事業を廃業しようと考えている人 |
参照元:令和4年度当初予算「事業承継・引継ぎ補助金」の公募要領を公表します
3種類それぞれ類型ごとに、補助上限額等が異なります。
申請者がどの類型で申請すべきなのか、確認してから交付申請をしましょう。
経営革新等に挑戦する人のための補助金が経営革新事業
経営革新事業は、事業承継やM&Aをきっかけとして、経営革新等にかかる取組費用を補助するための補助金です。
対象者は経営者の交代や事業再編、事業統合などによって事業継承を行った中小企業となります。
経営革新に当てはまる取り組みとは、以下の通りです。
経営革新に当てはまる取り組み
- 新商品の開発又は生産
- 新たな販売方式の導入
- 事業転換による新分野への進出
- 新たな事業活動による販路拡大
- 新市場開拓や生産性向上
また経営革新事業には、3つの類型があります。
- 創業支援型
- 経営革新型
- M&A型
それぞれの類型について、解説していきます。
設立や経営リリースを引き継いでいる人が利用できる創業支援型
創業支援型は、設立や経営リリースを引き継いで、経営資源を活用して経営革新等に取り組む中小企業向けの補助金となります。
創業支援型を利用するための条件は、以下の通りです。
- 事業承継対象期間内における法人設立、又は個人事業主としての開業している
- 廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により、有機的一体としての経営資源を引き継いでいる
創業支援型で交付が決定した例を、見ていきます。
引用文:事業承継引継ぎ補助金(一次公募)経営革新(創業支援型)交付決定一覧より
都道府県 経営革新等に係る取組の概要 宮城県 調剤分包機を導入し、今まで対応できなかった多様な処方箋にも対応出来るようになり、今まで未参入であった「在宅医療」への参入が可能となります。また、調剤棚を導入することにより在庫品目も増える事となり、多様な患者様に対応可能となり、新規顧客の獲得にも繋がります。処方箋の不要な「一般用医療品」の取り扱いが可能となり、地域医療の質が向上いたします。新分野の医療圏への参入と地域医療への貢献ができる取り組みとなっております。
経営者の交代や経営に一定の実績が認められた人が利用できる経営者交代型
経営者交代型は、経営者の交代や経営に一定の実績が認められた人が、経営革新等に取り組むための補助金となります。
経営者交代型を利用するための条件は、以下の通りです。
- 親族内承継や従業員承継の事業承継
- 産業競争力強化法に基づく認定市区町村もしくは認定創業支援事業者から特定創業支援事業を受けている人、または経営に関して一定の実績や知識がある人
経営者交代型で交付が決定した例を、見ていきます。
引用文:事業承継引継ぎ補助金(一次公募)経営革新(経営者交代型)交付決定一覧より
都道府県 経営革新等に係る取組の概要 奈良県 洞川温泉街にキャンプサイトを中心に、屋外遊具やビアスタンドを併設した複合的施設「山の家」を開設する。高感度なキャンパーや観光客を取り込む新しい観光スポットとなり、新規顧客層の開拓、収益増加を目指す取り組み。
M&Aが行われた場合や一定の実績が認められた人が利用できるM&A型
M&A型は、M&Aが行われた場合や事業統合があった場合に、経営革新に取り組むための補助金となります。
M&A 型を利用するための条件は、以下の通りです。
- 事業再編や事業統合のM&A
- 産業競争力強化法に基づく認定市区町村もしくは認定創業支援事業者から特定創業支援事業を受けている人、または経営に関して一定の実績や知識がある人
M&A型で交付が決定した例を、見ていきます。
引用元:事業承継引継ぎ補助金(一次公募)経営革新(M&Aが型)交付決定一覧より
都道府県 経営革新等に係る取組の概要 静岡県 承継事業は、業界動向・IT化等から遅れを取っていたため、設備投資によりリモデルし新たな住宅医療・地域医療分野へ進出する。また、承継者の既存事業とあわせた特色ある調剤薬局として再構築する取り組みである。
経営資源を他者から引き継ぐあるいは他者に引き継ぐための補助金が専門家活用事業
専門家活用事業とは、経営資源の引継ぎを行う取組費用を補助する事業です。
後継者不在により、事業継続が困難になることが見込まれる中小企業が対象になります。
地域の需要や雇用の維持、新たな需要を生み出し、国の経済を活性化させることを目的としています。
補助金を受け取るためには、事業再開と事業統合を行うことが必須です。
また専門家活用事業には、2つの類型があります。
- 買い手支援型
- 売り手支援型
それぞれの特徴について、解説していきます。
M&Aによる事業承継の買い手を補助する支援型
買い手支援型は、事業再編や事業統合のために経営資源の引継ぎを行う予定である中小企業等が当てはまります。
買い手支援型を利用するための条件は、以下の通りです。
- 事業再編や事業統合の際に経営資源を譲り受けた後、シナジーを生かした経営革新が行えること
- 事業再編や事業統合の際に経営資源を譲り受けた後、地域の雇用や地域活性化に貢献できる事業であること
また買い手支援型の補助金を交付するためには、以下の内容に基づき審査を行います。
審査の着眼点
- 経営資源の引継ぎが補助事業期間内に取り組まれるものである
- 財務内容が適切である
- 買収の目的や必要性がある
- 買収によって得られる効果が地域経済へ影響する
- 買収を行うための成長があること
M&Aによる事業承継の売り手を補助する支援型
売り手支援型は、事業再編や事業統合等のために、自社が所有する経営資源を譲る予定がある中小企業等が当てはまります。
売り手支援型を申請するための条件は、以下の通りです。
- 地域の雇用や地域活性化に貢献できる事業であり、事業再編や事業統合によって第3者によって継続される事業であること
また売り手支援型の補助金を交付するためには、以下の内容に基づき審査を行います。
審査の着眼点
- 経営資源の引継ぎが補助事業期間内に取り組まれるものである
- 譲渡する目的や必要性があること
- 譲渡によって得られる効果が地域経済へ影響する
他の枠組みと併用可能な補助金が廃業・再チャレンジ事業
廃業・再チャレンジ事業は、再チャレンジに取り組むための廃業に経費を要する場合に、その一部を補助するために令和3年に新設されました。
経営革新事業、もしくは専門家活用事業との併用が可能である点が特徴です。
しかし、M&Aへ取り組みした後に廃業した場合は、廃業・再チャレンジ事業単独での申請も可能となります。
また廃業・再チャレンジ事業には、補助対象が異なる併用申請と再チャレンジ申請があります。
また、廃業・再チャレンジは2つの類型に分類が可能です。
- 併用申請型
- 再チャレンジ申請型
それぞれの特徴について、解説していきます。
経営革新事業もしくは専門家活用事業と併用申請ができる併用申請型
併用申請型は、経営革新事業もしくは専門家活用事業と併用して申請できます。
併用申請を申請するための条件は、以下の通りです。
- 事業承継もしくはM&Aで事業を譲り受けた後に廃業した場合(経営革新事業との併用)
- M&Aで事業を譲り受けた後に廃業した場合(専門家活用事業との併用)
- M&Aで事業を譲り渡した後に廃業した場合(専門家カツヨ事業との併用)
また併用申請型の補助金を交付するためには、以下の内容に基づき審査を行います。
審査の着眼点
- 資格審査
- 資格審査を通過した人は書面審査
- 再チャレンジに取り組むために事業を廃業させる必要があるか
- 廃業に向けた準備がされているか
- 実現可能な再チャレンジであるか
資格審査では、補助対象者や補助上限額、補助率に適した人であるかを審査するのです。
既存事業を廃業する場合に利用できる再チャレンジ申請型
再チャレンジ申請型は、既存事業を廃業する場合に利用可能で、再チャレンジ事業のみを申請できます。
再チャレンジ申請を申請するための条件は、以下の通りです。
- M&Aで事業を譲り渡せなかった場合の廃業や再チャレンジ
また再チャレンジ申請型の補助金を交付するためには、以下の内容に基づき審査を行います。
審査の着眼点
- 資格審査
- 資格審査を通過した人は書面審査
- 再チャレンジに取り組むために事業を廃業させる必要があるか
- 廃業に向けた準備がされているか
- 実現可能な再チャレンジであるか
また、再チャレンジする人の年齢が若いことや起業や引継ぎ型創業であることは加点対象となります。
事業承継引継ぎ補助金の申請の流れ
事業承継引継ぎ補助金の申請の流れは、以下の通りです。
- 経営革新事業と廃業・再チャレンジ事業の申請をする場合は事業確認を受ける
- gBizIDプライムのアカウントを発行
- jGrantsで交付申請・交付決定通知
- 補助対象事業実施・実績報告
- 補助金の交付
事業承継引継ぎ補助金の申請は、電子申請が可能で書類を書く手間や郵送を行う必要がありません。
手順を把握していると難しい作業ではないため、容易に申請が可能です。
それぞれの手順の詳しい解説を、みていきましょう。
1.経営革新事業と廃業・再チャレンジ事業の申請をする場合は事業確認を受ける
事業承継引継ぎ補助金を申請する際は、補助対象に該当する事業であるか確認する必要があります。
経営革新事業もしくは専門家活用事業で申請するのか、内容を確認した上でどちらかを選択します。
Web公式サイトに公募要領の内容や補助対象事業、交付申請型について詳しく解説しているため、確認してから申請をしましょう。
また、経営革新事業と廃業・再チャレンジ事業は、支援機関に相談をして事業計画の確認をしなければなりません。
2.gBizIDプライムのアカウントを発行
事業承継引継ぎ補助金を申請するためには、gBizIDプライムのアカウントを発行しなければなりません。
gBizIDプライムとは、法人や個人事業主のアカウントのことで、補助金の申請などに必要となります。
gBizIDプライムのアカウントを発行するために必要なものは、以下の通りです。
gBizIDプライムのアカウント発行に必要なもの
- 印鑑証明書または公共男体が発行した印鑑登録証明書の原本
- 申請者の登録印鑑が押された申請書
- 申請者のメールアドレス
- SMSが受信できる申請者の電話番号
gBizIDプライムのアカウントは、上記の書類を郵送して、2〜3週間で発行されます。
発行までに時間がかかるため、申請を考えた時などに、事前に準備しておきましょう。
3.jGrants(Jグランツ)で交付申請・交付決定通知
必要な書類の準備が整った後にjGrantsを利用し、電子申請で交付申請を行いましょう。
jGrants(Jグランツ)とは、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムです。
jGrants(Jグランツ)を利用するメリットは、以下のものが挙げられます。
- いつでもどこでも申請ができる
- 署名で行う申請に比べてコストがかからない
- ログイン時の認証機能によって書類への押印が不要となる
- 目的の補助金を簡単に検索できる
- マイページから申請条件を確認できる
参照元:jGrants
交付申請の手順は、jGrantsのサイトを開き、事業承継引継ぎ補助金を検索します。
gBizIDでログイン後、補助金申請に必要な情報を入力し、資料をアップロード後申請を行うと完了です。
交付決定者は、事務局のホームページで発表され、交付申請の採否結果はjGrants上で行われます。
4.補助対象事業実施・実績報告
交付が決定すれば、補助対象となる事業を実施します。
また事業は、補助事業期間内に実施しましょう。
その理由は、交付が決定した場合でも補助事業期間外の契約や支払い、相見積もりを取らなかった際は補助対象とみなされないことがあるからです。
しかし事業承継引継ぎ補助金は、申請する時に事前着手の届出を提出できます。
事前着手の届出を提出すると、事務局が承認した日を事業開始日に設定できます。
そのため、交付が決定する前でも事業に着手できるのです。
事前着手を活用して、事業承継を進めていきましょう。
5.補助金の交付
実績報告を申請者から受けてから、補助金が交付されます。
補助金が交付されるのは、補助事業が完了してから原則15日以内に実績報告を提出し、事務局が事業内容や経費内容を確認した後です。
事務局から精算払いで、支払われます。
つまり、補助金を利用して事業の経費にあてられないため、支払い分は先に用意しなければなりません。
事業に使用する資金を確保してから、申請するようにしましょう。
また補助金対象事業後、経営革新事業と専門家活用事業を利用した人は一定の報告を行わなければなりません。
報告内容は、事業内容ごとで異なります。
申請に必要な書類は制度で異なる
事業承継引継ぎ補助金を申請する際に、必要になる書類は類型や事業形態によって異なります。
交付申請で必ず必要な書類は、以下の通りです。
必要な書類
- 法人の場合:履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
→直近の確定申告書
→直近の決済書(賃貸対照表と損益計算書) - 個人事業主の場合:税務署の受取印が押印された確定申告B
→所得税青色申告決算書の写し - 特定非営利活動法人の場合:直近の確定申告書
→ 直近の決算書(賃貸対照表)
→履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
どの類型でも共通で、必要となる書類です。
申請すれば必ず交付されるわけではない
事業承継引継ぎ補助金は、申請すると必ず交付される補助金ではありません。
令和3年の交付決定率をみてみましょう。
事業種 | 申請数 | 交付決定数 | 割合 |
---|---|---|---|
経営革新事業 | 209件 | 105件 | 50.2% |
専門家活用事業 | 790件 | 407件 | 51.5% |
廃業・再チャレンジ | 34件 | 19件 | 55.9% |
事業承継引継ぎ補助金全て | 1033件 | 531件 | 51.4% |
参照元:採択結果 | 令和3年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助金
令和3年度の補正予算の1次分の採択率は経営革新事業は50.2%、専門家活用事業は51.5%、廃業・再チャレンジは55.9%でした。
申請した人すべてが交付されるのではなく、約半数の人は交付されていないのです。
申請の際は、事業内容の詳細や事業についての資料をしっかり確認してから行いましょう。
業績拡大のために新たに事業に取り組む際に活用しましょう
事業承継引継ぎ補助金は、事業承継を行い経営革新を行いたい中小企業にとっては魅力的な補助金です。
返済義務のない利用しやすい補助金なため、申請者すべてに交付されるわけではありません。
また、申請する際に経営計画書の作成など準備に時間がかかるのも特徴です。
しかし、経営計画書を作成することで経営の見直しにもつながり、補助金が交付されれば事業の拡大にもつながる可能性があります。
事業承継引継ぎ補助金の情報収集をしっかり行い、ぜひ交付申請をしてみましょう。